彼女の・・・2
何の縁故も資金もない庶民出身の若者が、ポロをまとって絵筆をとるのとはちょっと趣が違う。
かといって、それはまた、有閑マダムのなぐさみ事というのでもない。
幼い頃より芸術や寸学に慣れ親しみ、仕立てのよい服装を身につけ、家族に伝わる古い銀器やリネンで食事をしできたA伯爵夫人は、自然の成り行きとして美しいもの一般に敏感になり、美醜を区別する直威的な感覚が年を追う毎に研ぎ澄まされていきました。
そこに持って生まれた天分が加わり、少しずつ人と違った目で対象を見るようになり、自分だけの美の世界を築き上げていきました。